この記事でわかること
  • 就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障がいのある方を支援する福祉サービス
  • 利用期間は原則2年。職業訓練・就活支援・職場定着支援の3段階で構成される
  • 支援員の仕事は訓練プログラムの実施・就職活動の伴走・企業との連携が中心
  • B型は「福祉的就労の場」、就労移行支援は「一般就労へのステップ」という目的の違いがある
  • 就職率は事業所によって大きく異なり、50%以上の就職実績を持つ事業所もある

就労移行支援とはどんなサービスか

就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく障がい福祉サービスのひとつです。一般企業への就職を目指している障がいのある方に対し、職業訓練・就職活動支援・職場定着支援を一貫して提供します。

B型やA型が「福祉的な就労の場を提供する」サービスであるのに対し、就労移行支援は「一般企業への就職を準備する」ことが目的です。利用期間は原則2年間と定められており、その間に就職に必要なスキルの習得から実際の就職活動、入社後の定着支援まで一貫してサポートします。

全国に約3,400か所の就労移行支援事業所があり(厚生労働省調べ)、年間の利用者数は約3.4万人前後です。近年はIT・プログラミング・デザインなどに特化した事業所も増えています。

3,400
全国の就労移行支援
事業所数の目安
2
利用期間の
上限
約54%
一般就労への
移行率の目安

支援の3つのフェーズ

就労移行支援は、利用者の就職準備の段階に応じて、大きく3つのフェーズで支援を進めます。

1

基礎訓練期(通所開始〜6か月目安)

生活リズムの安定化・ビジネスマナー・PC操作・コミュニケーションスキルなどの基礎的な職業訓練を行います。まずは「安定して通所できる」ことが最初の目標です。

2

実践訓練期(6〜18か月目安)

職場実習(企業インターン)・専門スキルの深化・模擬面接・応募書類の作成など、就職活動に直結する実践的なプログラムを行います。事業所によってはIT・事務・軽作業など専門分野に特化した訓練があります。

3

就職活動・定着支援期(18〜24か月目安+就職後6か月)

求人探し・面接同行・企業との条件交渉を支援員と一緒に進めます。就職後も最大6か月の職場定着支援があり、職場での困りごとの相談や企業との間に入った調整を行います。

就労移行支援事業所の支援員の仕事内容

就労移行支援事業所で働く職員は「就労支援員」「職業指導員」「生活支援員」「サービス管理責任者」に分かれます。最も特徴的なのは就労支援員の存在です。

就労支援員の仕事

利用者の就職活動を直接サポートする専門スタッフです。ハローワークとの連携・求人情報の提供・履歴書の添削・面接練習・企業見学の調整・就職後の職場定着支援を担います。企業の採用担当者との関係構築も重要な業務です。

職業指導員の仕事

訓練プログラムの企画・実施を担当します。PC訓練・ビジネスマナー講座・グループワーク・専門スキル講座などのカリキュラムを設計し、利用者の習熟度に合わせて個別に調整します。

生活支援員の仕事

利用者の日常生活面の支援を担います。体調管理・生活リズムの安定化・服薬管理の相談・対人関係の困りごとへの対応など、就職準備の土台となる生活面のサポートが中心です。

サービス管理責任者(サビ管)の仕事

個別支援計画の作成・進捗管理を統括する役割です。利用者一人ひとりのアセスメントを行い、就職目標に向けた支援計画を策定・モニタリングします。

利用者の特徴と対象者

就労移行支援の利用対象者は、「一般企業への就職を希望している65歳未満の障がいのある方」です。障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書があれば利用できるケースがあります。

利用者の障がいの種別は精神障がい・発達障がい・知的障がい・身体障がいと幅広く、近年は精神障がい・発達障がいの方の利用が増加傾向にあります。

対象者の条件詳細
年齢原則18〜64歳
障がいの種別身体・知的・精神・発達・難病など
手帳の有無手帳なしでも医師の診断書等で利用可能な場合あり
就労経験不問(未経験でも利用可能)
利用料前年度の世帯所得に応じて自己負担(多くの場合は無料)

B型・A型との違い

就労系の障がい福祉サービスは、目的と仕組みが異なる3つの類型があります。就労移行支援の特徴は「一般企業への就職を目的としている」点にあります。

項目 就労移行支援 就労継続支援A型 就労継続支援B型
目的 一般企業への就職準備 雇用関係のもとでの就労機会 生産活動・社会参加の場づくり
雇用契約 なし あり なし
報酬 原則なし 給与(最低賃金以上) 工賃(月1〜3万円の目安)
利用期間 原則2年 上限なし 上限なし
ゴール 一般企業への就職 安定した雇用の継続 日中活動・社会参加

事業所の選び方

就労移行支援事業所は全国に約3,400か所あり、事業所によって得意分野・プログラム内容・就職実績が大きく異なります。選ぶ際のチェックポイントをまとめます。

事業所選びのチェックポイント
  • 就職率・定着率の実績数値が公開されているか
  • 自分の希望する職種・業界に関連した訓練プログラムがあるか
  • 職場実習(企業インターン)の受入先が十分にあるか
  • 通所しやすい立地・時間帯か(交通費支給の有無も確認)
  • スタッフの対応や事業所の雰囲気が自分に合うか(見学時に確認)
  • 定着支援の体制が整っているか(就職後のフォロー体制)

就労移行支援に関するよくある質問

就労移行支援の利用中に給料はもらえますか?
原則として給与・工賃は発生しません。就労移行支援は「訓練」の位置づけであり、雇用契約を結ばないためです。ただし、障害年金を受給しながら利用したり、自治体によっては交通費の助成制度がある場合もあります。
就労移行支援の支援員になるのに資格は必要ですか?
就労支援員・職業指導員・生活支援員として働く場合、法的な資格要件はありません。ただし、社会福祉士・精神保健福祉士・臨床心理士などの資格を持っていると採用で有利です。サービス管理責任者は所定の実務経験と研修修了が必須です。
2年間で就職できなかった場合はどうなりますか?
原則2年で利用は終了しますが、市区町村の判断で最大1年間の延長が認められる場合があります。就職に至らなかった場合は、就労継続支援A型・B型への移行や、別の就労移行支援事業所の利用を検討することもできます。