- 就労移行支援は、一般企業への就職を目指す障がいのある方を支援する福祉サービス
- 利用期間は原則2年。職業訓練・就活支援・職場定着支援の3段階で構成される
- 支援員の仕事は訓練プログラムの実施・就職活動の伴走・企業との連携が中心
- B型は「福祉的就労の場」、就労移行支援は「一般就労へのステップ」という目的の違いがある
- 就職率は事業所によって大きく異なり、50%以上の就職実績を持つ事業所もある
就労移行支援とはどんなサービスか
就労移行支援は、障害者総合支援法に基づく障がい福祉サービスのひとつです。一般企業への就職を目指している障がいのある方に対し、職業訓練・就職活動支援・職場定着支援を一貫して提供します。
B型やA型が「福祉的な就労の場を提供する」サービスであるのに対し、就労移行支援は「一般企業への就職を準備する」ことが目的です。利用期間は原則2年間と定められており、その間に就職に必要なスキルの習得から実際の就職活動、入社後の定着支援まで一貫してサポートします。
全国に約3,400か所の就労移行支援事業所があり(厚生労働省調べ)、年間の利用者数は約3.4万人前後です。近年はIT・プログラミング・デザインなどに特化した事業所も増えています。
事業所数の目安
上限
移行率の目安
支援の3つのフェーズ
就労移行支援は、利用者の就職準備の段階に応じて、大きく3つのフェーズで支援を進めます。
基礎訓練期(通所開始〜6か月目安)
生活リズムの安定化・ビジネスマナー・PC操作・コミュニケーションスキルなどの基礎的な職業訓練を行います。まずは「安定して通所できる」ことが最初の目標です。
実践訓練期(6〜18か月目安)
職場実習(企業インターン)・専門スキルの深化・模擬面接・応募書類の作成など、就職活動に直結する実践的なプログラムを行います。事業所によってはIT・事務・軽作業など専門分野に特化した訓練があります。
就職活動・定着支援期(18〜24か月目安+就職後6か月)
求人探し・面接同行・企業との条件交渉を支援員と一緒に進めます。就職後も最大6か月の職場定着支援があり、職場での困りごとの相談や企業との間に入った調整を行います。
就労移行支援事業所の支援員の仕事内容
就労移行支援事業所で働く職員は「就労支援員」「職業指導員」「生活支援員」「サービス管理責任者」に分かれます。最も特徴的なのは就労支援員の存在です。
就労支援員の仕事
利用者の就職活動を直接サポートする専門スタッフです。ハローワークとの連携・求人情報の提供・履歴書の添削・面接練習・企業見学の調整・就職後の職場定着支援を担います。企業の採用担当者との関係構築も重要な業務です。
職業指導員の仕事
訓練プログラムの企画・実施を担当します。PC訓練・ビジネスマナー講座・グループワーク・専門スキル講座などのカリキュラムを設計し、利用者の習熟度に合わせて個別に調整します。
生活支援員の仕事
利用者の日常生活面の支援を担います。体調管理・生活リズムの安定化・服薬管理の相談・対人関係の困りごとへの対応など、就職準備の土台となる生活面のサポートが中心です。
サービス管理責任者(サビ管)の仕事
個別支援計画の作成・進捗管理を統括する役割です。利用者一人ひとりのアセスメントを行い、就職目標に向けた支援計画を策定・モニタリングします。
利用者の特徴と対象者
就労移行支援の利用対象者は、「一般企業への就職を希望している65歳未満の障がいのある方」です。障害者手帳を持っていなくても、医師の診断書があれば利用できるケースがあります。
利用者の障がいの種別は精神障がい・発達障がい・知的障がい・身体障がいと幅広く、近年は精神障がい・発達障がいの方の利用が増加傾向にあります。
| 対象者の条件 | 詳細 |
|---|---|
| 年齢 | 原則18〜64歳 |
| 障がいの種別 | 身体・知的・精神・発達・難病など |
| 手帳の有無 | 手帳なしでも医師の診断書等で利用可能な場合あり |
| 就労経験 | 不問(未経験でも利用可能) |
| 利用料 | 前年度の世帯所得に応じて自己負担(多くの場合は無料) |
B型・A型との違い
就労系の障がい福祉サービスは、目的と仕組みが異なる3つの類型があります。就労移行支援の特徴は「一般企業への就職を目的としている」点にあります。
| 項目 | 就労移行支援 | 就労継続支援A型 | 就労継続支援B型 |
|---|---|---|---|
| 目的 | 一般企業への就職準備 | 雇用関係のもとでの就労機会 | 生産活動・社会参加の場づくり |
| 雇用契約 | なし | あり | なし |
| 報酬 | 原則なし | 給与(最低賃金以上) | 工賃(月1〜3万円の目安) |
| 利用期間 | 原則2年 | 上限なし | 上限なし |
| ゴール | 一般企業への就職 | 安定した雇用の継続 | 日中活動・社会参加 |
事業所の選び方
就労移行支援事業所は全国に約3,400か所あり、事業所によって得意分野・プログラム内容・就職実績が大きく異なります。選ぶ際のチェックポイントをまとめます。
- 就職率・定着率の実績数値が公開されているか
- 自分の希望する職種・業界に関連した訓練プログラムがあるか
- 職場実習(企業インターン)の受入先が十分にあるか
- 通所しやすい立地・時間帯か(交通費支給の有無も確認)
- スタッフの対応や事業所の雰囲気が自分に合うか(見学時に確認)
- 定着支援の体制が整っているか(就職後のフォロー体制)